戸籍の性別変更条件がえげつない

シンです。

トランスジェンダーとして困ることを聞かれたときに、「戸籍の性別と外見が食い違っている」とよく言います。すると「なんで戸籍の性別変えないの?」と聞かれることがあります。

変えたくても変えられないんだよ!

 

という訳で今回は戸籍の性別を変更するための条件がえげつなく厳しいことについて書きます。

日本において戸籍上の性別は2003年に成立した【性同一性障害者の性別の取り扱いの特例に関する法律】、通称『特例法』によって変更することが出来ます。

(注:トランスジェンダー=性同一性障害者ではありません。) 

 特例法

第三条 第1項

家庭裁判所は、性同一性障害者であって次の各号のいずれにも該当するものについて、その者の請求により、性別の取扱いの変更の審判をすることができる。
  二十歳以上であること。
 現に婚姻をしていないこと。
 現に未成年の子がいないこと。
 生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。
 その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること。

第2項

前項の請求をするには、同項の性同一性障害者に係る前条の診断の結果並びに治療の経過及び結果その他の厚生労働省令で定める事項が記載された医師の診断書を提出しなければならない。

 このように戸籍上の性別を変更するためには条件があります。これらの条件について思うところを書きます。

 

  二十歳以上であること。

 性別を移行するということは基本的に不可逆なことですから、ある程度の年齢制限があるのは妥当でしょう。(ここで不可逆というのは身体的処置のことです。)でも、18歳以上でいいのではないかと思います。参政権も18歳からになったしね。

当事者にとって20歳以上が18歳以上になることは2年早く性別移行が出来る、ということ以上の価値があります。

18歳というのは(留年等しなければ)高校3年生です。18歳で性別移行ができれば、移行後の性別で進学・就職ができます。同一のコミュニティに属しながらの性別移行は周囲の人へのカミングアウトをせざるを得ない状況になり、人間関係が面倒なことになりがちです。年齢制限が緩和されれば当事者がとれる選択肢が増えることでしょう。

 

・・・そもそも年齢で区切ってしまうと同じ学年でも4月生まれと3月生まれで約1年の差が生まれてしまうんだけどね。ここだけ数え年みたいな考え方をするのが一番いいのだろうか。「18歳になる年の1月1日以降から可」みたいな。

そしてこの条件だけ緩和されても性別適合手術の要件が20歳以上である限りどうしようもないけど(後述)。

 

   現に婚姻をしていないこと。

2017年現在日本で同性同士の結婚が認められていないことの弊害によるものであり、性別に関係なく結婚できるような結婚の平等が実現されれば自ずと消滅するはずの要件です。それが難しいんですけど。早く実現してくれ。

 

 現に未成年の子がいないこと。

 2003年当初は「現に子がいないこと」でしたが、2008年に「現に未成年の子がいないこと」緩和されました。

 

これは「父親が母親または母親が父親になったら子供が混乱する」ということが理由として挙げられます。確かに親の生別が変わったら子供は戸惑うでしょう。でもそれって戸籍の性別ではなくて社会的性別、性表現の方ですよね。いきなり父親が「実は女でした」とか言い出したらその時点で子供は驚くわけです。 だから子供を理由に戸籍の性別を変えられないのはナンセンスな訳です。

「性別を自由に選択できる権利」と同様に「子の福祉」も尊重されるべきであり、自身の子供と密接な関係を持ちながら性別移行することは難しい問題で、個々の家庭事情にもよると思います。

 

 生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。

 その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること。

 はい出ました今回一番槍玉に挙げたい条件。

僕が引っ掛かっている条件でもあります。何が問題かって?これらはどちらも手術を必要とするというところです。

MTF(性自認が女性で生物学的性別が男性)だと精巣摘出と陰茎切除、

FTM(性自認が男性で生物学的性別が女性)だと卵巣摘出が必要です。

 

手術というのはそれはもう大変です。どこをどう手術したかによって多少変わってきますが、大体1~2週間ほど入院が必要なのではないでしょうか。

そしてお金がかかります。これまたどこをどう手術するかで変わってきますが、戸籍変更にこぎつけるまでに200万近くかかります。冗談じゃないですよ。

身体に大きな負担をかけることになるため、高齢の方や持病を持っている方の中には手術そのものが耐えられないという事もあるでしょう。

 

確かに、ある程度移行先の性別に近い身体を持っていなければ周囲が混乱するというのはわかります。しかしながら下半身は日常生活で人に見せないし、FTMの場合であれば卵巣があろうがなかろうが外見に影響しません。 

 

また、内性器は生命機能の維持に重要な性ホルモンを分泌しています。

内性器を摘出してしまうと、自力で性ホルモンを作ることができなくなるため、一生定期的に注射を打つことなどで摂取しなければなりません。これもお金がかかります。

 

四 生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。に関しては2014年にWHO(世界保健機関)より「生殖機能の喪失を強いることは人権侵害だ」という声明が出ています。海外に目を向けてみると、手術なしで性別変更できる国は10カ国以上あります。

他の国がやっているからなんでもやればいいって訳ではありませんが、他の国でできているなら日本でもできると思うのです。

 

ちなみに最近性別適合手術の保険適応が検討されているようですね。それはいいことだと思います。しかし、その理由が「戸籍の性別を変更するのには手術しなければならないから」はちょっと違うと思うのです。それならば手術要件を撤廃しろよ、と思います。

手術を受けたい人が受けられる、戸籍を変えたい人が変えられる、という状況が望ましいと思います。

性別適合手術の重要性は人それぞれなのだから。

 

と、ここまでは一般論的なことを書きましたが、以下個人的な思いを書きます。

僕は内性器摘出はしていませんが、外見で周囲にトランスジェンダーだとバレることなく平穏に暮らしています。しかし、現状の法律では性別を変えることができないため、

その周囲の認知は戸籍とは食い違ってしまいます。

 

病院の診察券やマイナンバーカードには見た目とは違う性別が書いてある。それだけでも精神が削られます。(身体性別の情報が医療的に必要なことがあるため診察券は納得できますが、マイナンバーカードは許さないからな)

 

そしてそれを人に見られてはいけないという恐怖。パスポートには性別が書いてあるため、友人と海外旅行に行くのも憚られます。

大学ではどうにかなったけれども、就活のときはどうすればいいのだろう。悩みは尽きません。

そしてそういう壁にぶつかる度に呪われているなぁ、と思うのです。

 

僕の戸籍は何故変えられないのでしょうね。手術ってそんなに大切ですか。

手術すると単純に身体がしんどいのでもうやりたくないんですけど。

かつての僕も含めてだけど、みんな手術について軽く考えすぎてないか?

手術しないと周囲に混乱がー、とか言う人いそうだけど、外見と戸籍が噛み合ってないと、戸籍そのままの方が社会に混乱をもたらすと思うのですが、どうですか。

 

僕はトランスジェンダーの代表でもなんでもないし、一例だけで法律をどうこう言うもんでもないことはわかっていますが、ついついこう思ってしまいます。

 

シン

 

 

 

 

 

 

“戸籍の性別変更条件がえげつない” への2件の返信

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です